８７ ８７
| トップ | お知らせ | ためになる？ | ←前 | 次→ |
日本と朝鮮半島 世界史の視点で考察 ３
韓流ブームで日本と韓国との関係は良好である
しかし、両国の歴史認識は食い違っている 北朝鮮とは国交はない
明治維新後の歴史を冷静にみてみよう
（このページでは歴史判断はしていません。 各自のご判断におまかせします）
| 望郷の丘 |
韓国に望郷の丘があります。 海外で命を落とした人々が眠っています。 戦時中 日本の軍人軍属だった朝鮮人の遺骨が日本政府との話し合いがつき ２０１０年５月１９日 東京から返還されました。 日本によって朝鮮半島から動員され 亡くなった ２１９人の遺骨。 ６８年ぶりに対面する変わり果てた肉親の姿です。 日中戦争から太平洋戦争にかけて 朝鮮半島から動員された軍人軍属は２４万人以上であった。 特攻隊員となった人もいました。 元朝鮮人兵士は 「植民地にされ 名前まで奪われました。 そのうえ 戦場で命まで捧げろなんて そんなことありますか」 |
| 皇民化政策 |
日本が戦時動員のため朝鮮半島で推し進めたのが皇民化政策だった。 朝鮮半島では 総督府の決めた 「皇国臣民の誓詞を唱えさせられていました。 １、 我らは皇国臣民なり 忠誠もって 君国に報ぜん ２、 我ら皇国臣民は 互いに信愛協力して 以って団結を固くせん ３、 我ら皇国臣民は 忍苦鍛錬力を養い 以って皇道を宣揚せん 韓国政府は ２００４年 強制動員被害真相糾明委員会 を設立した。 被害が認められれば、 生存者には医療支援金が、 遺族には慰労金が支給される。 ２０万件以上の申請があり、 現在も 認定作業が続いている。 ここに 二人の姉妹が訪れていた 特攻隊員となった兄の被害認定を申請しているのです。 しかし 審査は保留となっているのです。 「兄は無理やり ”神風” にされて 犠牲になりました。 命令によって行かされたことを 私たちは知っています。」 ※後述 日本によって動員された朝鮮の人々 彼らは 自ら協力を申し出た 対日協力者 なのか？ それとも 動員された 被害者 なのか？ 日本の皇民化政策によってもたらされた傷跡に 今も韓国社会は向き合っているのです。 日中戦争から太平洋戦争にかけて 日本国内では 国家総動員法 が施行され 朝鮮半島では 戦時動員 皇民化政策 が 推し進められた。 軍人軍属の 軍事動員 強制連行を含む 労働動員 従軍慰安婦 戦時下での戦時動員は イギリスの植民地でもフランスの植民地でも行われていました。 しかし、 日本が行った皇民化政策のような同化政策は イギリスもフランスもしなかった。 特に 日本はアジアの植民地解放を訴えて日清・日露戦争をしてきたのに 日本が韓国を植民地にしていたのでした。 |
| 戦時動員 |
昭和１２（1937）年 日中戦争勃発をきっかけに 戦時動員 がはじまりました。 １９３７年７月 日本が朝鮮に駐留させていた朝鮮軍は陸軍省に 朝鮮人志願兵制度に関する意見書 を提出している。 朝鮮人の自発的な志願によって日本軍兵士にさせる制度です。 志願者は半年間専門の訓練を受けました。 最も重視されたのは 天皇への忠誠です。 「宮城（皇居）並びに伊勢の皇大神宮に対し奉り最敬礼！」 を してから、 総督府の定めた 「皇国臣民の誓詞」 を唱えていました。 天皇に絶対従い、ひたすら天皇に奉仕する という精神を養うことが最も重要でした。 皇民化政策を推し進めた 朝鮮総督（1936〜1942） 南 次郎 志願兵制度を推し進めた 朝鮮軍参謀 井原 潤次郎 井原の録音テープから 「志願兵制度というのを作ってネ そして 無理やり入れたんですヨ 志願兵・・・ そして そこで教育をすると・・・ 陸軍省はなかなか踏み切らんのですネ それはもう困難でした。」 （何で 陸軍省が志願兵制度に及び腰だったんですか？） 「それは どこかで （朝鮮人に） 鉄砲を反対に向けられては困るから 簡単に言えば そういうことですネ。 それから 総督府に相談をして 志願兵訓練所というものを作ってもらって そして そこで集合教育をすることになった訳なんです。」 皇軍兵士に志願した チャン・ビョンムク（88）さんは 現在の北朝鮮の小作農でした。 粟 や 豆のかす しか食べられない貧しい農民でした。 朝鮮総督府の依頼を受けた村の警察が志願兵を集めました。 チャンさんは村の警官に何度も説得されました。 最初の年は断りましたが、 翌年１９歳になったとき 断れませんでした。 「もし 私が志願兵に応募しなかったら 警官に憎まれ ひどいことをされると思いました。 それで、 志願せざるを得なかったのです。 それに 家は貧しく 雑穀さえ満足に食べることができませんでした。 日本の軍隊に入れば せめて麦飯だけでも食べられると思ったのです。」 志願兵の８０％程度は貧しい農民でした。 志願兵に応募したチャンさんは皇民化に納得していたわけではありませんでした。 「軍隊では 一生懸命やらないといけないので頑張りました。 それは 日本のためではありません。 頑張らざるを得なかったのです。 ”無念” でした。」 朝鮮人を皇国臣民にする難しさに直面した 朝鮮総督の南は あらゆる生活の場で皇民化を推し進める政策を打ち出しました。 一つの村に一つの神社を造り 村人たちに参拝することを強要しました。 日本語による教育の義務化 日本人風の氏名を名乗る 創氏改名 そして それは 徴兵制の実施 と 天皇の行幸を仰ぐこと を 目標としていたのです。 （自伝 南次郎 より） 昭和１６（1941）１２月 太平洋戦争勃発 日本は大東亜共栄圏の建設を掲げ 開戦から半年ほどで 東南アジアのほぼ全域を占領しました。 １９３７年１１月 ７月に出した 朝鮮人志願兵問題に関する件 の回答が出ていました。 朝鮮における徴兵制の実施は数十年後とする しかし、 その後の急な戦線拡大にともない陸軍省は兵士が不足することを懸念する。 そして、 慎重だった徴兵制に踏み出したのです。 陸軍省で軍事動員を担当した 山崎正男 の回顧録 「陸軍軍制史梗概」（1947年）には 当時 朝鮮人の徴兵制には消極論があった 軍人となる朝鮮人の日本語普及の程度はいかがか？ しかし、 積極論が上回った 今次 聖戦を大和民族のみの犠牲だけで行うことは適当ではない 大和民族のみが戦死し 朝鮮民族が残るということは 将来由々しきこととなるだろう すべからく 朝鮮民族もこの際 戦死してもらう １９４２年５月 東条英機首相は 朝鮮人の徴兵制 閣議決定 し、 ２年後実施とした。 「東条」は新字体 旧字体では「東條」 総督府の南次郎は 徴兵制の発表において 「徴兵制度の形において 内鮮一体の政策は 絶頂に達した 過去のあらゆる努力は ここに達するまでの努力であったのである。」 徴兵制度が進む一方 志願兵が続々集まってきました 志願兵だった チャン・ビョンムクさんは １９４３年１月 釜山で行き先も告げられず 輸送船に乗せられ朝鮮半島を離れました。 チャンさんが送られたのは 南方の激戦地ニューギニア島でした。 日本は国力の限界を超え 戦線を拡大し、 制海権も制空権も失いました。 東部ニューギニア戦線は軍人軍属１６万人のうち８割以上が戦死する過酷な戦場でした。 皇軍兵士 張村 炳黙 となった チャン・ビョンムク さんは 最前線の歩兵部隊に配属されました。 チャンさんは 食料も弾薬も尽きたが、それでも戦い続けなければなりませんでした。 今も 体には ８発の弾丸が残っています。 「つらい つらい 本当につらい戦争だ 一日数十回言っていました。 雨が降れば ぶるぶる振るえ マラリアにも苦しんだのです 多くの人が 目の前で自殺しました。 ”張村上等兵 内地に帰ったら （家族に）よろしくお願いするぜ” と言って 銃で自殺しました。」 ２１６人いたチャンさんの部隊で生き残った朝鮮人はチャンさん一人 「朝鮮人にとって 何の価値もない戦争に参加し 無意味に死んだのです。 朝鮮人は自国のためでなく 日本のために死にました。 日本人の戦没者のように ”殉国” とは言えません。」 ニューギニアに動員された朝鮮人は３０００〜４０００人。 そのほとんどは死にました。 チャンさんは２００２年 ニューギニアを訪問し、 ともに戦い死んだ朝鮮人の慰霊碑を作りました。 慰霊碑に刻まれた言葉 受難戦没 南の後任の朝鮮総督（1942〜1944）は 小磯国昭 皇民化政策をさらに加速させます。 当時 日本語を理解できる朝鮮人は２割弱でした。 事態を憂慮した小磯は日本語教育を強化しました。 朝鮮に７００ヶ所以上の 青年特別練成所 を設置し 軍人となる青年に徹底的に日本語を教育しました。 商店、飲食店、銀行 など あらゆる場所での日本語使用を進め、 女性への日本語教育も強化しました。 皇民化教育の中心となったのが 国民学校（小学校）でした。 授業が日本語で行われただけでなく、 皇国臣民の誓詞を解りやすく教育しました。 １、 私たちは 大日本帝国の臣民であります ２、 私たちは 心を合わせて 天皇陛下に忠義を尽くします ３、 私たちは 忍苦鍛錬して 立派な強い国民となります さらに 教育勅語も教えました。 皇民化教育を受けた子供たちも動員されました。 １０代の女子たちが日本のが工場労働に動員された 女子勤労挺身隊 です。 １４歳のとき 女子勤労挺身隊に志願した ヤン・クンドク（80）さん ヤンさんが学んだ 旧 羅州大正国民学校 では 一年生のときから皇民化教育を受けていました。 ヤンさんの当時の成績表が残っています 梁 金徳 日本名 梁川 金子 昭和５年１１月３０日生 日本語の成績は常に最優秀。 級長も務めました。 備考欄には 挺身隊に出動す 従順なり 記憶力に富む と記されています。 ヤンさんは 皇国臣民の誓詞も 神社参拝も 進んでしました。 教育勅語は現在でも言うことができます 「朕惟ふに 我か皇祖皇宗 国を肇むること宏遠に 徳を樹つること ・・・」 ヤンさんが挺身隊に志願したのは６年生のときでした。 日本人の校長先生と憲兵が教室に現れ 生徒を勧誘しました。 「日本へ行けば 天皇陛下のために働いて お金を稼げる。 女学校へも行ける」 と この言葉を聞いて ヤンさんは 真っ先に手を上げました。 当時 朝鮮人が女学校へ行くことはきわめて難しかったからでした。 先生は 「天皇が呼ぶのだから 絶対うそはつかない」 と言いました。 信じないわけありませんでした。 夕食も忘れるほど うれしくて・・・ しかし、 父は反対しました。 「そんな話はうそだ 行ってはだめだ」 と、 しかし、 私は耳を貸しませんでした。 日中戦争から太平洋戦争のころ 日本国内では労働力不足が深刻化していました。 そこで 進められたのが 朝鮮人の動員でした。 ヤンさんがつれてこられたのが 名古屋にある軍需工場でした。 １０代の少女３００人がつれてこられたのが 三菱重工業 名古屋航空機製作所 でした。 ヤンさんは航空機の部品作りを１日１０時間 立ったままで作りつづけました。 約束だった女学校へは行かせてもらえず、 給料もくれませんでした。 「学校に行けないのですか」 と聞くと 「何を言うか」 と殴られそうになりました。 だまされた と思いましたが 恐ろしくて何も言えませんでした。 親の言うことをなぜ聞かなかったのか たいへん後悔しました。 友達と抱き合って 泣くしかありませんでした。 ヤンさんは逃げることもできず、 終戦まで働かされつづけました。 |
| 特別攻撃隊 |
太平洋戦争の戦局が悪化すると 特別攻撃隊の出撃が始まりました。 鹿児島の知覧から沖縄へ出撃した特攻隊委員１,０３６人の中に１１人の朝鮮人がいます。 最も若い朝鮮人特攻隊員 朴 東薫 さん 日本軍の記録によると、 １９４５年３月 １６歳の若さで出撃しました 特攻隊に志願した直後 宣伝用のラジオ放送のために録音された音声が残っています。 「今 ここに選ばれて名誉ある特攻隊に召されたときの気持ち これが なんとも言えない気持ちであります。 鬼畜米英の軍艦 B２９が次々と目前に見えてきてじっとしておられません。 一機一艦 あの憎き船にぶつけて 粉々にして見せます。 日の丸の旗を高く翻そうではないか。」 パク・トンフンさんは なぜ皇軍兵士となり特攻隊員に志願したのか？ 日本のメディアに会うことを拒みつづけていた二人の妹（パク・ヘオクさん パク・ヘスクさん） は 韓国仁川で取材を受けました。 「兄は特攻隊員に志願されられた被害者である」 と訴えています。 パク・トンフンさんは 現在の北朝鮮で７人兄弟の長男として生まれました。 学校で皇民化教育を受け １５歳のとき少年飛行兵になりました。 教育飛行隊で訓練を受けているとき 特攻隊に志願したと言われています。 出撃がせまった １９４５年３月 パク・トンフンさんはソウルで家族と最後の面会をしました このとき 特攻隊に志願した事情をはじめて話しました。 （以下 姉妹の話） 父は困惑して兄に聞きました 「なぜ 特攻隊に志願したのか」 兄は 「自分は長男だから 特攻隊に なれない」 と言ったが・・・ 上官に 「家族の面倒は見る 心配するな」 と言われた と 答えました。 兄は父に 「弟たちは 絶対軍隊に行かせないでください」 と 頼みました。 兄は 決して自ら望んで特攻隊員になったのではありません。 １９４５年３月２８日 パク・トンフンさんは 特攻隊の基地知覧から出撃し 沖縄の海で戦死しました。 死後、 三階級特進して少尉となった と毎日新報（１９４５年４月１４日付）に写真入りで紹介されている 朝鮮で 半島の神鷲と讃えられました。 生家は 誉の家 と家族写真付きで紙上で賞賛されました。 しかし、 両親は毎日 涙を流していたと 言われいます。 （以下 姉妹の話） 私たち一家の苦しみは 日本の方には わからないでしょう 日本人は自国のために戦死するから 英雄になれますが 私たちは違います 親として子を守れず 息子が他国のために死んでしまった 両親の苦しみは 言葉では表せません 今も 私たちの苦しみとなっています。 当時 首相だった 小磯国昭は 朝鮮人特攻隊員について １９４５年３月１８日 議会で次のように述べている 悠久の大儀に生くるの 崇高なる信念を示す者も 多々見らるるに至った 皇化の洽き眞に 恐懼感激に堪えざる所であります。 １９４５（昭和２０）年８月１５日 日本の敗戦 朝鮮は３５年間の植民地から解放されました。 皇民化政策のもと 志願して日本に動員された人々 戦後 朝鮮半島で 対日協力者 として 厳しい視線を受けながら生きてきました。 |
| 強制動員被害真相糾明委員会 |
女子勤労挺身隊に志願した ヤン・クンドク（80）さん ヤンさんは挺身隊に入ったことが戦後知られると 偏見をうけ 慰安婦と間違えられることもありました。 「日本へは喜んで行きました 戻ってくると 想像もしない苦痛を受け 生きることになりました」 ヤンさんは戦時中日本で強制労働させられた と 日本政府と企業を相手に 謝罪と賠償を求め提訴しました。 名古屋高裁の判決は 「強制連行」 と 「強制労働」 は 認定 しかし 請求は棄却 棄却の理由は １９６５年６月 日韓国交正常化 のとき結んだ 日韓請求権協定 でした 日韓請求権協定 とは 日本が韓国へ５億ドルの経済協力を供与するかわりに 植民地時代の請求権の問題は完全かつ最終的に解決 ２０１０年２月 来日したヤンさん 最高裁で敗訴が確定した後も 国会議員に 新たな法律を作って救済してほしい と訴え続けています 韓国では 戦時動員の被害を認定し救済することは 長い間不充分でした ２００４年１１月 強制動員被害真相糾明委員会 を 特別立法により発足させました。 ヤンさんたちも医療支援金を受け取れるようになりました。 ２０１０年２月９日 特攻隊員パク・トンフンさんの妹たちが 真相糾明委員会を訪れました。 妹たちは ５年前 兄の被害認定を申請していました。 二人にとって 被害認定は お金の問題ではなく 家族の名誉の問題である パク・トンフンさんの審査は保留となっていました。 問題となったのは パク・トンフンさんの階級でした 死後 少尉に特進 日本軍の幹部とみなされているのです。 （姉妹の訴え） 兄は日本軍によって無理やり ”神風” にされ犠牲になりました 死後 少尉に進級させられても 何の意味もありません （委員会担当者） 委員会の立場は 将校は認めないことになっています しかし 死後 将校になった人について 明確な基準は まだ ありません （姉妹の訴え） 日本は兄を無理やり行かせたのに 他国の人だからと 知らん顔です 韓国まで 当時の状況を理解せず 階級だけで決めるなら納得できません 戦後 韓国社会では 特攻隊員は皇軍兵士に志願した対日協力者であると非難されてきました。 パク・トンフンさんの家族も非難にさらされ 故郷を去らなければなりませんでした。 離れ離れになった姉妹は 兄の被害認定の申請をきっかけに 連絡を取り合うようになりました。 ２０１０年２月１９日 長年待ち望んだ審査の結果が出る日です。 前日 二人は緊張で眠ることができませんでした。 被害は認定されました （泣きながら姉妹は） 本当に良かったね どんなに待っていたことか 兄も母も きっと喜んでいるよ 今までの重荷を下ろしましょう・・・ 私たちが生きている間に解決したんだね 何十年もかかったね 兄を被害者だと認めてくれたので とても幸せです でも 兄が日本の特攻隊として悲惨な死を遂げたことは 決して忘れません いつまでも 私たちの心の中に残るでしょう 韓国で 特攻隊員の被害が認定されたのは始めてのことです 長年 対日協力者とされていた人たちの名誉が徐々に回復されています 日中戦争から太平洋戦争の時代 朝鮮半島から動員された 軍人軍属は ２４万人以上 労働者は ７２万人以上 日本の皇民化政策が 朝鮮半島にもたらした傷は 今も癒えることは ありません。 |
参考資料：ＮＨＫＴＶ ＮＨＫスペシャル シリーズ日本と朝鮮半島
（制作：2010/08/01/無断転載禁）
← サイト全体のカウント
