フナハシ学習塾その他３６

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恥ずかしい日本語　１２

誤った言い方で大恥をかかないように　２

珠玉の大作　

（こんな日本語はない）

音楽や短編小説などをほめるとき、　「珠玉のメロディー」　とか　「珠玉の一遍」　などと、
「珠玉（しゅぎょく）」という言葉をよく使う。

ただし、この「珠玉」をつかうときは、ほめる対象を選びたい。

「珠玉の大作」　とか　「珠玉の大河ドラマ」　などとほめたのでは、日本語能力を疑われる。

「珠玉」とは、宝石や真珠のことで、そこから立派なもの、美しいものをほめるときにつかう。
宝石とか真珠は小さなものであり、大きなものに対しては使えないのです。

「長編小説」、「大作」、「交響曲」　など大きな作品に対しては、「雄大な」　とか　「堂々たる」　といった
言葉を使いたい。

青田刈り　

（正しいようだが、笑われる）

就職シーズンになると、　「青田（あおた）買い」　とよく言われる。

「青田買い」とは、まだ稲穂が青々と繁っている時点で、後日収穫されるはずの米を先物買いをしてしまうこと。
その意味から、現代の「青田買い」は、優秀な学生を「青田｣にたとえて、早々と就職の内定を出すことを言う。

しかし、ときどき　「青田刈（が）り」　という人がいる。

「青田刈り」　では、これから伸びて、実りをつける稲穂を、そのまえに刈り取ってしまうことになる。
これでは、収穫はゼロとなってしまう。

こんな言い方をしていては、優秀な学生には相手にされないかも、、、

　（ただし、最近の辞書の中には　「青田刈り」　も載っているようだが、、）

成功は「火を見るよりも明らか」　

（どこかヘンですか？）

仕事の先行きを危ぶむ人に、
「大丈夫、成功は火を見るより明らか」　と言ったのでは、　どうにもならない。

「火を見るより明らか」　は、　きわめて明らかなことという意味だが、どんなときでも使える言葉ではない。
使っていいのは、結果が悪いときとか悲劇的なときだけである。

たとえば、　「いずれ破綻するのは火を見るより明らか」　とか
「あの夫婦が別れるのは火を見るより明らか」　などと使う。

果報は寝て待て。　あくせく働くことはない。　

（なまけものの言葉かな？）

「果報（かほう）は寝て待てというから、ここではあくせく働くことはない」　と、のんびり構えている人がいるものです。

しかし、これではこの言葉の意味を正しく理解していない、単なる怠（なま）け者と言われます。

「果報は寝て待て」　は、自分は何もしないで、幸運を願う怠け者の言葉ではありません。
最善の努力をしたのだから、あとはあせらず「果報」を待つという意味です。

別の言葉では　「人事を尽くして天命を待つ」　に近いです。

弓矢を引く　

（相手にそむく時の言葉だがどこかヘン）

この世の中、場合によってはお世話になった人にそむかなければならないこともある。

そんなとき、　「弓矢を引く」　と言っては、この先が心配である。

正しくは、　「弓を引く」　である。

「弓」　は　武器のなかで　「刀」　に次いで、慣用表現によく使われる言葉で、

「刀折れ矢尽きる」　といえば、力尽きたこと。
「弓を外（はず）す」　といえば、武装解除すること。

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参考文献：　使ってはいけない日本語　　日本語倶楽部　著/河出書房新社

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